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(税務)≪相続人の課税関係 所得税編 その1 取得価額等は引き継ぎ?≫

2012.3.27
 
 札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
 
 
 これまでの2回は、亡くなった方(被相続人)が消費税の課税事業者であった場合、事業を引き継いだ相続人の消費税の課税関係について解説しました。
 
ファイル 152-1.jpg
 
≪相続人の課税関係 消費税編 その1 いつから課税事業者?≫ 
  
1 免税だった相続人が課税事業者となるのはいつからですか?
2 亡くなった方が簡易課税だった場合、相続人は簡易課税を引き継ぐことができるのでしょうか?
 
 http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=150
 
≪相続人の課税関係 消費税編 その2 課税対象はどこまで?≫ 
 
3 過去に免税だった相続人が申告する場合に、課税売上となるのは?
4 相続の翌年以後の課税事業者の判定はどのように計算するのでしょうか?
 
 http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=151
 
 
 今日は相続人の課税関係について、所得税編のその1です。
 
  
1 相続人が相続により資産を取得した場合、その資産の取得価額はいくらで、取得時期はいつになるのでしょうか?減価償却の方法も引き継がれるのでしょうか?
 
 
 亡くなった方(被相続人)から相続人が相続で資産を取得した場合、その資産の取得価額と取得時期は次のようになります。
 
① 棚卸資産・・・亡くなった方が選定していた評価方法によって計算した金額となりますので、基本的には亡くなった方の取得価額と取得時期を引き継ぐことになります。
 
② 固定資産
 
ⅰ 限定承認(注)の場合・・・相続時にその時の時価で取得したものとされます。
ⅱ 限定承認以外の場合・・・亡くなった方の取得価額と取得時期を引き継ぎます。
 
(注)限定承認 
 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。(民法第922条)
 つまり、相続に際し「取得できるプラスの財産」が多いのか「借金等のマイナスの財産」が多いのかはっきりしない場合に、相続したプラスの財産の範囲内で借金等のマイナスの財産を弁済する責任を負うというのがこの限定承認です。
 
 以上から相続人の各種所得の計算では次のようになります。
 
① 棚卸資産
 
 棚卸資産の取得価額は亡くなった方が選定していた評価方法によって計算した金額となります。
 
② 固定資産
 
 固定資産を限定承認で相続した場合には、相続時にその時の時価で取得したものとされるので、減価償却費は相続時に中古資産を時価で取得したものとして計算します。
 
 一方、固定資産を限定承認以外で相続した場合には、亡くなった方の取得価額と取得時期を引き継ぐことになります。このため、総合譲渡所得の長期、短期の判定については、亡くなった方の取得時から、相続で取得した人が譲渡した時までの所有期間で判定することになります。
 また、分離譲渡所得(土地や建物の譲渡)の長期、短期の判定については、亡くなった方の取得時から、相続で取得した人が譲渡した年の1月1日までの所有期間で判定することになります。

 
 減価償却費の計算についても亡くなった方の取得価額と未償却残額を引き継ぐことになりますが、償却方法は引き継がれないため、償却方法の届出書を期限(翌年3月15日)までに提出した場合を除き法定償却方法で計算することになります
(所法60、所令103②、所令126②)
 
 
 なお、平成19年4月1日以後に相続により取得した資産の減価償却方法は、新減価償却法とされるため(所得税基本通達49-1)、亡くなった方が平成19年3月31日以前に取得した資産を相続したときは、減価償却費の計算に注意が必要です。これについては、国税庁のHPに次のような例が掲載されています。
 
◎ 平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合(注)
 
【照会要旨】
 
 Bは、平成23年5月10日にAから木造アパートを相続しました。このアパートの取得価額等は次のとおりですが、Aの準確定申告及びBの確定申告における平成23年分の償却費の額はいくらですか。
(1) 取得年月:昭和63年1月
(2) 取得価額:10,000,000円
(3) 法定耐用年数:22年(旧定額法及び定額法の償却率0.046)
(4) 平成23年1月1日の未償却残額:500,000円(取得価額の5%相当額)
 
【回答要旨】
 
 Aの準確定申告において必要経費算入される償却費の額は41,667円、Bの確定申告において必要経費に算入される償却費の額は306,667円となります。
 
(1) Aの準確定申告における減価償却費の計算
 
 平成19年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産で、各年分の不動産所得等の金額の計算上、必要経費に算入された金額の累積額が償却可能限度額(建物についてはその取得価額の95%相当額)に達している場合には、未償却残額をその達した年分の翌年分以後の5年間で、1円まで均等償却することとされています(所得税法施行令第134条第2項)。
 また、年の中途で死亡した場合の必要経費に算入される金額は、その償却費の額に相当する金額を12で除し、これにその年1月1日からその死亡の日までの期間の月数を乗じて計算した金額とされています(同条第3項)。
 したがって、Aの準確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
 (500,000円-1円)÷5年×5/12=41,667円(相続時の未償却残額458,333円)
(注) 1円までの5年均等償却は、平成20年分以後の所得税について適用されます(平成19年政令改正第82号附則第12条第2項)。
 
(2) Bの平成23年分の確定申告における減価償却費の計算
 
 平成19年4月1日以後に取得した建物の減価償却の方法は、「新」定額法とされ(所得税法施行令第120条の2第1項第1号、下線部分の「新」は筆者が追加。)、この「取得」には、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれます(所得税基本通達49-1)。
 ただし、減価償却資産の取得価額及び未償却残額は、相続により取得した者が引き続き所有していたものとみなされます(所得税法施行令第126条第2項)。
 したがって、Bの平成23年分の確定申告における減価償却費の計算は次のようになります。
 10,000,000円×0.046×8/12=306,667円(未償却残額151,666円)
 
【関係法令通達】
 所得税法第49条、所得税法施行令第120条の2第1項、第126条第2項、第134条、平成19年政令改正第82号附則第12条第2項、所得税基本通達49-1
 
(注) "http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/23.htm
 
 
 次回は、所得税編の続きとなります。
 
 ≪相続人の課税関係 所得税編 その2 青色関係の引き継ぎは?≫
 
 亡くなった方の青色申告や専従者給与は相続人に引き継がれるのでしょうか?
 
   
 お楽しみに!
 
 
 http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=153 
 
 
 See you next!
 
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◎ 法人税の税務調査って、当たる確率はどの程度なのかな?
  
≪税務調査に当たる確率はどのくらい? ≫ 
 
 http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=110
   
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◎ 納税者の権利救済の実態はどのようになっているのかな?
  
≪納税者の勝率は?納税者の権利救済の実態は?≫ 
 
 http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=109
 
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  TKC全国会会員
  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/
 
            札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                             税務会計論演習担当(大学院)
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