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(会計)≪中小会計要領の主な内容 その1 実現主義と発生主義≫

2012.4.10
 
 中小会計要領の各論のうち主なものについて、法人税法との異同を意識しながら見て行きましょう。
 
 
1 収益、費用の基本的な会計処理
 
(1)収益は、原則として、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する現金及び預金、売掛金、受取手形等を取得した時に計上する。 
 
(2)費用は、原則として、費用の発生原因となる取引が発生した時又はサービスの提供を受けた時に計上する。 
 
(3)収益とこれに関連する費用は、両者を対応させて期間損益を計算する。 
 
(4)収益及び費用は、原則として、総額で計上し、収益の項目と費用の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。
 
【解説】
 
 企業の利益は、一定の会計期間における収益から費用を差し引いたものであり、収益と費用をどのように計上するかが重要となります。
 
 ここで、収益と費用は、現金及び預金の受取り又は支払いに基づき計上するのではなく、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理することが必要となります。
 
 収益のうち、企業の主たる営業活動の成果を表す売上高は、(1)にあるように、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する対価(現金及び預金、売掛金、受取手形等)を受け取った時(売掛金の場合には、発生した時)に認識するのが原則的な考え方です(一般に「実現主義」といいます。)。実務上、製品や商品の販売の場合には、売上高は、製品や商品を出荷した時に計上する方法が多く見られますが、各々の企業の取引の実態に応じて、決定することとなります。
 
 一方、費用については、(2)にあるように、現金及び預金の支払いではなく、費用の発生原因となる取引が発生した時又はサービスの提供を受けた時に認識するのが原則的な考え方です(一般に「発生主義」といいます。)。
 
 ここで、適正な利益を計算するために、費用の計上は、(3)にあるように、一定の会計期間において計上した収益と対応させる考え方も必要となります。例えば、販売した製品や商品の売上原価は、売上高に対応させて費用として計上することが必要になります。
 
 なお、(4)にあるように、収益と費用は原則として総額で計上する必要があります。例えば、賃借している建物を転貸する場合は、受取家賃と支払家賃の双方を計上することとなります。
 
(以上、中小会計要領)
 
 以上のように各論は、中小会計要領では「収益、費用の基本的な会計処理」から始まっていますが、中小会計指針ではこのような基本的な会計処理についての記載はなく、資産の各論である「金銭債権」から始まっています。これは会計情報伝達の第一の相手先として、中小会計要領では自社の経営者が想定されているのに対し、中小会計指針では資金調達先や取引先という外部の利害関係者が想定されているためと思われます。すなわち、それぞれの立脚点の違いが出ているわけです。
 
 内容については、収益については実現主義により、費用については発生主義により計上すべきものとされ、入金時または出金時に計上する現金主義での計上は認められていません。
 
 なお、法人税法における原則的な収益計上基準は以下のようになっており(注1)、中小会計要領の実現主義と基本的には差異がありません。
 
① 販売収益では引渡基準
② 役務収益では役務提供完了基準
③ 請負収益のうち物の引渡しを要するときは完成引渡基準、物の引渡しを要しないときは役務提供完了基準
④ 譲渡収益では引渡基準
⑤ 受取配当では契約効力発生日基準
 
 また、法人税法における損金の額の計算は、別段の定めがあるものを除き、次の額とされています。
  
① その期の収益に係る売上原価等の原価の額
② その期の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で期末までに債務の確定しないものを除く)の額
③ その期の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
 
 そのため、費用の計上基準としては、次の点を除き、中小会計要領の発生主義と基本的には差異がありません。
 
① 原則として引当金の計上が認められていない。
② 別段の定めがあるものについてはそれに従う。(寄附金、役員退職給与、決算賞与、景品費、売上割戻、事業税等)
 
 中小会計要領には、金額が確定していない場合の収益の計上時期については書かれていませんが、実現主義では金銭請求権である売掛金を取得した時に収益を計上することになるため、金額が確定していない場合あっても実現した時点で、金額を見積もって計上する必要があります。これは法人税法でも同じです(注2)。
 
 同様に、金額が確定していない場合の費用の計上時期は、費用が発生した時点で、金額を見積もって計上することになリます。これは法人税法でも同じです(注3)。
 
 
 また、中小会計要領では、適正な利益計算のためには「収益費用対応の原則」に基づくことの必要性も謳われています。

 
 
2 資産、負債の基本的な会計処理
 
(1)資産は、原則として、取得価額で計上する。 
 
(2)負債のうち、債務は、原則として、債務額で計上する。
 
【解説】
 
 資産には、金銭債権、有価証券、棚卸資産、固定資産等が含まれますが、これらは原則として、(1)にあるように、取得価額、すなわち、資産を取得するために要した金額を基礎として、貸借対照表に計上します(一般に「取得原価主義」といいます。)。したがって、取得した後の時価の変動は、原則として、会計帳簿に反映されません。
 
 なお、「取得価額」とは資産の取得又は製造のために要した金額のことをいい、例えば、購入品であれば、購入金額に付随費用を加えた金額をいいます。また、「取得原価」は取得価額を基礎として、適切に費用配分した後の金額のことをいい、例えば、棚卸資産であれば、総平均法等により費用配分した後の金額をいいます。
 
 一方、負債には、金銭債務や引当金等が含まれますが、このうち債務については、(2)にあるように、債務を弁済するために将来支払うべき金額、すなわち債務額で貸借対照表に計上します。
 
(以上、中小会計要領)
 
 以上のように、中小会計要領では「収益、費用の基本的な会計処理」に続き、「資産、負債の基本的な会計処理」について書かれていますが、これに対し、中小会計指針にはこのような基本的な会計処理についての記載はなく、取得価額や取得原価については、有価証券、たな卸資産、固定資産などの各資産あるいは金銭債務などの各負債のところに個別に書かれています。
 
 これは、中小会計要領が基本的に取得原価主義を採用しているのに対して、中小会計指針では最近の国際会計基準に見られる時価主義にも配慮しており(金銭債権、有価証券、固定資産、税効果会計等)、その立場を異にしているためです。

 
 
(注1)法基通2-1-1、2-1-5、2-1-27
(注2)法基通2-1-4
(注3)法基通2-2-1
 
 
 次回以後は、中小会計要領に書かれている各資産や負債等のうち主なものについて、法人税法との異同を意識しながら見て行きましょう。
 
 次回は貸倒損失、貸倒引当金です。
 
 ≪中小会計要領の主な内容 その2 貸倒損失と貸倒引当金≫
 
 http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=156
 
  
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  TKC全国会会員
  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/
 
            札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                            税務会計論演習担当(大学院)
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