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(税務)≪給与の源泉所得税を正しく控除していますか?≫ その2 賞与

 前回は賞与以外の「通常の給与」の源泉所得税について、正しい税額の求め方を説明しましたが、今回は「賞与」の源泉所得税について税額の求め方を説明します。
 
 給与を支払うときに源泉徴収する所得税額は、支払の都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めることになりますが、この税額表には、次の3種類があることを前回お知らせしました。
 
①「月額表」(所得税法別表第二)
②「日額表」(所得税法別表第三)
③「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(所得税法別表第四)
 
 「賞与」の源泉所得税を求める場合に使用する税額表は上記のうち、③「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」です。(以下の説明には、「平成22年4月以降分」の「源泉徴収税額表」を使用します。お持ちでない方は、国税庁のホームページ(注1)からダウンロードしてください。)

 
 
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                  Syouyo Gensen
 
 
 今回もQ&A方式で説明して行きましょう。なお、この表の使い方を既にある程度理解されている方はQ1、Q2を飛ばして、Q3からご覧になっても結構です。
 
Q1 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は通常の給与に使用する「月額表」や「日額表」と行や列の構成がずいぶんと異なっており、よくわかりません。 どのような構成になっているのですか?
 
 そうなんです。とても見づらい表ですね。初めて見た方が戸惑うのも無理がありません。
 
 お手元に「源泉徴収税額表」を用意し、賞与用の表(別表第四)を開いてください。
  
 この表の構成は次のようになっています。
 
①一番左の「列」の各行には「賞与の金額に乗ずべき率」が書かれています。→ この表を使って求めたい「率」がここに出ています。
 
②列の部分はさらに「甲欄」と「乙欄」に分かれ、「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている方については「甲欄」を使います。それ以外の方については「乙欄」を使います。2カ所以上の会社等から給与の支給を受ける方で従たる給与について「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている場合も「乙欄」を使います。
 
③列の部分の「甲欄」にはさらに「扶養親族等の数」が書かれ、その方の扶養親族等の人数に応じた「列」を使うようになっています。
 
④さらにその下には「扶養親族等の数」ごとに「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が書かれています。
 
Q2 雇い入れた方から「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている場合、どのように税額を求めるのですか?
 
①この方についてはこの表の「甲欄」を使用します。(従たる給与について「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている場合はQ4をお読み下さい。)
 
②この方の扶養親族等の数を「扶養控除等申告書」から求め、その人数に応じた「列」を使います。例えば、扶養親族が奥さん1人だけの場合は、2列目の「扶養親族等の数」が「1人」の列を使います。
 
③次にその方の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を計算し、②で見つけた「列」を下にたどって行き、その金額に該当する「行」を探します。例えば、先ほどの方の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30万円だったとすると2列目の「扶養親族等の数」が「1人」の列を下にたどって行き、4行目の「282千円以上338千円未満」の「行」が今回使う行です。
 
④次に今見つけた「行」を左にたどって行き、一番左の列にある「賞与の金額に乗ずべき率」が見つかります。先ほどの方の場合は「6%」ということになります。
 
⑤この「6%」をその方に支給する今回の「社会保険料等控除後の賞与の金額」に乗じて計算した金額が徴収すべき源泉所得税の金額となるわけです。例えば、今回支給する賞与の金額(社会保険料等控除後)が50万円とすると、50万円×6%=3万円が源泉所得税の金額となります。
 
Q3 賞与の支給を受ける本人が障害者の場合や扶養親族等に障害者がいる場合の「扶養親族等の数」はどのように計算するのですか?
 
①賞与の支給を受ける本人が障害者、寡婦、寡夫、勤労学生に該当するときはこれらのひとつに該当するごとに1人を本来の扶養親族等の人数に加算して「扶養親族等の数」を計算します。
 
②扶養親族等のうちに障害者に該当する人がいるときはその数を本来の扶養親族等の人数に加算して「扶養親族等の数」を計算します。
 
Q4 雇い入れた方から「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっていない場合はどのように税額を求めるのですか?
 
①「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっていないので、この方についてはこの表の「乙欄」を使用します。(従たる給与について「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらっている場合も同様です。)
 
②乙欄を使う場合は「扶養親族等の数」は考慮する必要がありません。「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」を計算し、その金額に該当する「行」を見つけ、その行を左にたどって行くと、一番左の列にある「賞与の金額に乗ずべき率」が見つかります。
 
③例えば、「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」が30万円の場合は「241千円以上305千円未満」の行に該当し、この行の一番左の列にある率は「20%」ということになります。この方に今回支給する賞与の金額(社会保険料等控除後)が50万円とすると、50万円×20%=10万円が源泉所得税の金額となります。甲欄を使用する場合より3倍強も多くの税額を徴収することになります。
 
Q5 前月中の給与等の金額がない場合はどうなりますか?
 
 この表を使わないで、月額表(別表第二)を使って税額を求めてください。
 
Q6 源泉徴収税額表を使用するに当って他に注意すべき点がありますか?
 
 そうですね、次の点にも注意しましょう。
 
 次の場合もこの表を使わないで、月額表(別表第二)を使って税額を求めることとされています。
 
〇今回支給する賞与の金額(社会保険料等控除後)が「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」の10倍に相当する金額を超える場合
 
Q7 税務調査で賞与の源泉が問題となることがありますか? 
 
 はい、ありますよ!注意しましょう!!
 
①正社員や2か月以上パートやアルバイトを雇った場合には、ひとり一人から必ず「給与所得者の扶養控除等申告書」をもらいましょう。これをもらわないで、「甲欄」を使用して税額を計算していると税務調査のときに「乙欄」で計算した税額を追徴される恐れがあります。追徴税額が多額になることもありますので、必ず「扶養控除等申告書」をもらっておきましょう。
 
②退職金以外の臨時的な給与、例えば、祭りの小遣いや年末年始のもち代、誕生祝い金(注2)、永年勤続の祝い金などの名目で渡す現金も所得税法上賞与とされます。これらの臨時的な給与を源泉徴収をしないで支給した場合には賞与としての税額を追徴される恐れがあります。
 

◎賞与の源泉所得税もその他の源泉所得税と共に法定納期限までに必ず納付しましょう。納付が遅れると、不納付加算税と延滞税をとられますよ。
 

○不納付加算税や延滞税については以下の記事をご覧下さい。
「えっ、そんなに高いの! 『加算税や延滞税』の割合は・・・」

http://www.ksc-kaikei.com/blog/index.cgi?no=58
 
○「通常の給与」の源泉所得税額の求め方については以下の記事を御覧下さい。
 
≪給与の源泉所得税を正しく控除していますか?≫ その1 賞与以外の給与

http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=83
 
 
(次回「お知らせ」のご案内)
 
 自動車や自転車などを使って通勤する場合の通勤手当。通勤距離によって非課税限度額が異なります。いくらか御存知ですか?
 次回はこのような場合も含めた非課税となる通勤手当についてお知らせします。題して、
 
≪交通費や通勤手当、非課税はいくらまで?≫ 
 
http://www.ksc-kaikei.com/news/index.cgi?no=85 
 
 
(注1) 「平成22年4月以降分」の「源泉徴収税額表」(国税庁)
 
(注2)誕生祝い金の所得税法上の取り扱い
結婚祝い金でしたら相当額までなら非課税とされますが、誕生祝い金は非課税とされません。
(「平15.9.25裁決、裁決事例集No.66 212頁」を参照。)
 
(注) 給与所得の源泉徴収の根拠条文等
所得税法185、186、所得税法施行令308、309、別表第2~4、所得税法基本通達185-8
 
 
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  TKC全国会会員
  税理士・社会保険労務士・行政書士 溝江 諭 KSC会計事務所
      Tel  011-812-1672 http://www.ksc-kaikei.com/
 
      札幌学院大学 客員教授 税務会計論担当(学部)
                      税務会計論演習担当(大学院)
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